Plastic Tree「十色定理」感想

大分放置してましたが、本日はPlastic Treeニューアルバム「十色定理」発売日!おめでとうございます!!!!

ということでゲットしてきたので個人的な感想書いていきます。以下敬称略です。

 

1.あまのじゃく/作詞作曲 長谷川正

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世界を狂わすほどのメランコリー(井上貴子

雨が降る森を1人で静かに歩いているようなイントロから始まる曲。プラは冒頭から引き込まれるような雰囲気を作るのが上手いとつくづく思う。サビの高音になる所で浮遊感が一気に増す。これライブの1曲目だと鳥肌立つやつでしょ……最高かよ…

「さよならは悲しすぎて 可笑しくなるばかり」の辺りがタイトルのあまのじゃくに繋がるんだろうか。 

歌詞は自嘲というか嘲笑という感じですね。

「もう遅い」感はあるけど過去を巡るしか出来ない、みたいな。せつない。

あと、今回完全生産限定版のシングル帯コメントはライターさんとフォトグラファーさんが書いてるみたいですね。上記のやつ。これがまたいいキャッチコピーで目を引くんですよ…これだけでも限定版買って良かったと思えました。

 

2.メデューサ/作詞作曲 ナカヤマアキラ

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これぞプラの錬金術 (井上貴子)

あまのじゃくは森の雰囲気だったけどこっちは都会的。ピアノが段々強く主張してきて終盤は疾走感がある。感情がどんどんむき出しになっていくみたいで好き。ナカヤマアキラはやはり天才か…

メデューサといえばギリシャ神話ですね。見たものを石化させるメデューサの首を取ってこいと命令されたペルセウスが、鏡の盾と鎌を神様から借り受けて退治に行く冒険譚です。多分「目は合わせるな 鏡越し 故に曖昧」はここからかな。直接目を見ると緊張で固まるから直接見れませんっていう。

内容としては、綺麗な人に恋したけど何時も緊張して目を合わせられない。けど想いは自分の中で破裂寸前まで膨れ上がる。尖ったナイフのような感情はとうの昔に錆びており、相手に向けるには心もとないから捨てようとしたけど捨てられなかった。当たって砕けろ的な発想でもう一度彼女に向ける言葉を研ぎあげたけど一晩経ったら我に返って「やっぱりやめよう」と思い二階級特進(=殉職)は回避した。折角研いだナイフにはまた錆ができる。彼女の象徴のマネキンヘッドと共に主人公の恋も砕けたけど、彼の人生は青信号で前に進む。的な。

ナカヤマさんの歌詞は独特なので妄想が膨らみますね。好き。(2回目)

 

3.潜像/作詞 有村竜太朗 作曲 長谷川正

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諸行無常をさめざめとした歌模様で描く「ホログラフィック」(樋口靖幸)

冒頭から正さんのベースが良すぎる(涙)

結構動いてますよね?プラは割とベースの音大きめだと思ってるんですけどこの曲は特に分かりやすかった。あの暗室の中で撮影したMVも雰囲気あっていいですよね。歌詞で「消えないで」って言ってたのが最後に「消さないで」って懇願に変わるところ聴いてて凄くつらいなぁと思う。忘却を前にした人間の無力さというか。まさに諸行無常。せつない。

 

4.C.C.C./作詞作曲 有村竜太朗

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しょせん人生は退屈しのぎ。その虚しさを言葉の海に浸しつつ、有村竜太朗が軽やかに唱えた呪文は

「あ か さ た な は ま や ら わ を ん」(樋口靖幸)

ギター最高かよ(大声)

ギュインギュインじゃないすか…ソロの所のSATも神すぎる…バンドサウンド全開な音だし、是非みんなで向かい合って演奏してもらいたい。これはライブが楽しみだなぁ。みんなで飛び跳ねたいぜ。はよコロナ滅しろ。

タイポグラフィーで五線譜になってるの可愛いですね。歌詞に「〜しい」が続くからC.C.C.というタイトルにしたんだとか。個人的に有村さんのさ行音好きなんですよね…特に「し」。ちょっと空気入ったような歌い方がとてもいい。「あかさたな〜」の部分は右左交互に聴こえてきてちょっと面白かったです。あと有村さん×花の組み合わせは最強。

 

5.remain/作詞作曲 佐藤ケンケン

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悲しみや切なさを「雨」に喩えるメランコリックドラマー、佐藤ケンケン。

彼の言葉とメロディが織りなす「雨上がり」の情景(樋口靖幸)

最初にジャケット写真を見た時の衝撃。絶対何人か死んだでしょこれ。びっくりだよ。顔面偏差値の暴力。

ギター始まりの雨の曲。ケンケン雨の歌多いよね。

雨が上がったからって憂いはなくならないよ、って感じ。ハッピーな感じはしないけどそこがケンさんの魅力な感じする。サビ前に一瞬音が止まるのがかっこいい。そして最後は割とあっさり終わるので聴いたあとの余韻がある。流石。

 

6.スウィング・ノワール/作詞作曲 長谷川正f:id:fj5an_gt13:20200325164817j:image

目を閉じてゆっくりおどろう(中野敬久)

イントロがシャレオツ…!正さんのベースのリズムが心地いい曲。こういうダークでメルヘンな曲を作るのがお上手すぎる…あと「一時停止」の所の有村さんの歌い方が色っぽすぎて私は死んだ。

個人的なイメージは黒いドレス着た女の子が目隠しで踊ってる感じ。見える世界に飽きて見えない世界に傾倒する、みたいな。茶色の小瓶の中身は何なんでしょうね?同名の曲だと中身はお酒のようですが…わからん。

 

7.インサイドアウト/作詞 有村竜太朗 作曲 長谷川正f:id:fj5an_gt13:20200325200731j:image

このメロディーがあれば、僕らは時空を超えて繋がれる、何度でも―――     愛なき世界の賛美歌(井上貴子

カラマリのタイアップ曲。タイポグラフィーは真ん中で明朝体とゴシック体に別れてて面白い。

お別れの曲。記憶の中の相手が変わってしまうという意味では潜像と共通している所があるのかも。会えるかな→逢えないでしょうの対比がもうなんか悲しい。最後に夜明けみて空は繋がってるんだなぁ的な終わりをしたのが救いだった。

 

8.Light.Gentle.and Soul./作詞作曲 ナカヤマアキラf:id:fj5an_gt13:20200325201859j:image

暴走するバンド愛、転覆する自我、遭難しっぱなしの人生。ナカヤマアキラの道化芝居と彼がしたためた「ダイイングメッセージ」(樋口靖幸)

この帯コメントを見た時の衝撃よ…「ダイイングメッセージ」って殺される時に犯人を示すメッセージでしょ?

どういうことなの…

曲はイントロが電子音でナカヤマアキラだ!って感じ。MVの英語歌詞部分が横に流れる演出は痺れた。

歌詞は毎度の如く難解なんだけど、内面に踏み込んだ歌詞なのかなーっていうのは何となく想像つく。道化が崩壊寸前ってことはもう道化になる必要なくなったってことかな。mistakeとadjustで試行錯誤の人生?うーむ。

 

9.月に願いを/作詞作曲 佐藤ケンケンf:id:fj5an_gt13:20200325230516j:image

そっと夜を届けにいくような (中野敬久)

ドストレートな失恋歌詞でした。せつねぇ。タイポグラフィーが丸い月になってて凝ってるなぁと思った。緩急というか、静かなところと音が鳴るところがハッキリしている。夜道で聴きたい1曲。「声は途切れ〜」からの感情の洪水で泣きそうになる。失恋経験のある人なら余計響くんじゃなかろうか。最後に言うのが「さよなら」じゃなくて「ありがとう」なのが無理してる女の子って感じで好き。絶対帰り道1人でそっと泣いてるやつ。

 

10.エンドロール/作詞作曲 有村竜太朗f:id:fj5an_gt13:20200325231526j:image

暗闇の中つき刺す白い光は音楽(中野敬久)

前曲のしっとりバラードからの爽やかソング。タイポグラフィーも上が切れてて本当に映画のエンドロールみたいだった。MVは4人が向かい合って演奏してて頭上には空という泣きたくなるような構図だった。エモい。

「ふたりきりだったのにね」「戻れたらいいのにね」の歌詞が染みる。有村さんは“ずっと一緒だった2人の別れ”を書くのが本当に上手い。そして大体その時の後悔とか思い出とかを振り返る形で書いてるので、切ないんだけど綺麗な曲になる。正さんが「風通しのいいアルバムにしたかった」と言ってたけど、この曲はラストに持ってくべくして持っていかれた曲だと思った。色んな想いが浄化されるような感覚でとても良かった。

 

総括

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十色という名の通り特色多い曲が1つにまとまったアルバムでした。個々の主張はいい意味で大きいんだけど1から10まで聴いた時の流れが素晴らしすぎる。

曲順とか曲と曲の間の空白とかちゃんと計算して決めてるんだろうけど、このピッタリ感が凄い。10曲はアルバムとしては多くないという本人コメントがあったけど、10曲だからここまでキッカリ収まったような気がする。曲単体で聴くよりも順番崩さずに最後まで聴きたくなるようなアルバムだった。みんないい仕事しすぎでしょ…ライブが本当に楽しみです。Plastic Treeはいいぞ。

 

以上、個人的感想でした。

語りー酒も見たけどお腹抱えて笑った。裏話も盛りだくさんだったよ。完全生産限定版はマジで海月大満足ボックスなのでみんな買おうな。

 

おわり。

 

 

 

7/29 【Tree】Songs/Plastic Tree@パシフィコ横浜

 

書いてたら長くなってしまったので…第2幕です。 

感想のつづきいっくよー

 

第2幕 「ネガとポジ」について

 

こちらも私が投票したアルバム。

このアルバムは私の中で「都会」や「夜」が脳内イメージとしてある。会社帰りの車の中のBGMとして流していると、とても落ち着く曲たちなので好き。

それもあって聴けるの楽しみにしてたんだけど、昼の第1幕だけでもあれだけ迫力で殴られてお腹いっぱいだったので、第2幕に入り込めるか自分が心配だった。

だけどそれも杞憂で、実際は勢いや圧がとどまることを知らず、音の波と厚みが一気に押し寄せてきた。第1幕で見せてくれた彼らの本気度は少しも衰えていなかった。聴きながら「これは凄いライブになりそう」と思ったのを覚えている。実際その通りになった。早く自宅でも追懐したいし、DVDが待ち遠しい。発売はよ。

 

 

1.無人

「ネガとポジ」を演るなら絶対聴きたいと思っていた曲。ナカヤマさんのこの歌詞は色々と想像力を掻き立てられて好きだ。苦悩する主人公と、そんなガラス細工のように脆い主人公を傷ついても見つめる誰か。この関係性が好き。 〝傷ついて痛がって 感情過多でもあなたときっと歩める〟だから、2人は再出発したと信じてるんだけど、どうでしょうね。誰からも見送られない無人駅からの再出発。きっと最後、大切なものに主人公は気づけたと思う。

さて、そんな聴きたいと切に願った無人駅だったけど、ライブで聴くこの曲は期待通り素晴らしいものだった。イントロのナカヤマさんの静かなギターから始まり、そこからうねるベースと安定したドラムが続く。 特にサビのナカヤマさんの高いコーラスは客席までしっかり届き、太朗さんの声と合わさって2人の声が芯のある強い歌声になっていた。サビの最後の伸ばすところがとても心地いい。元々好きな曲のひとつだけど、更に好きになれた。

 

2.アンドロメタモルフォーゼ

重厚で攻撃的な黒い傘の音を聴き、放心していたところからのアンドロメタモルフォーゼ 。

心に刺さるような重い音を奏でていたと思ったら、突如こういう優しい音を出してくれたりするからこのバンドはズルい。アルバムの曲順通りに演ってる訳だから次は何の曲やるか分かってるんだけど、この落差は卑怯だと思った。背景は暗い宇宙に沈んでいく玩具の人形達と星空。優しい音と浮遊感に屈するしかなかった。音の洪水を前にして立ち尽くしてしまい、じっと彼らだけ見つめていた気がする。本当に目が離せなかった。

この曲も他のツアーで何度か聴いた事はあるけど、毎度惹き込まれてしまう曲の一つで、夜に自宅に帰る車の中で繰り返し聴いた曲だから個人的には特に思い入れも強い。最後の〝月からね 吹く風で涙もいつかかわいて そしたらね どこまでもずっと 歩いてけそう〟の歌詞には何度救われたか知らない。

そんな曲をこの20周年の記念ライブで、しかも本編ラストに聴けるのはとても幸せなことだと思った。一音一音噛み締めるように聴けたことに感謝しかない。本当に素敵でした。

 

3.記憶行き

アルバム「ウツセミ」からのアンコールで最後に演奏してくれた曲。

冒頭の「さよなら」を聴いた瞬間、「あぁ、このライブも過去になろうとしているのか」と思って泣きそうになった記憶がある。「もう少しだけ付き合って」と太朗さんが前置きして始まった記憶行き。音や演奏するメンバー、目に映るもの全てが美しすぎて息を呑んだ。最後の4人で向き合って演奏する姿は20周年の締めくくりに相応しい姿だったと思う。客席から見ても本当に楽しそうに彼らは演奏していた。何度かあったバンドの危機を乗り越えて、それでもプラを続けてくれた4人の想い。その願いごとひとつだけでここまでこれたような気がしてならない。たださんも言ってたけどそれはとても誇らしいことで、何度か感謝の言葉も口にしてらしたけど、こちらも連れてきてくれて、再現してくれてありがとうという感謝の気持ちを伝えたいと思った。私は4人が心底楽しそうに、笑顔で演奏したこの「記憶行き」を一生忘れない。

 

 

第2幕総括

第1幕で無邪気に、純粋な心で日々の不安や疑問を歌っていた少年が、第2幕で大人の青年になって帰ってきたという印象だった。

プラのアルバムを並べていると初期はおとぎ話を読んで独自の世界を持っている閉鎖的な少年で、近年になるにつれて現実世界に少しずつ触れ、大人になっていったという感じがする。だけど根本の精神的なところはあまり変わってなくて、生きていく上での漠然とした不安や諦めは少し残っているという感覚。1幕から2幕の流れはそんな成長を見れたような感じで面白かった。

特に音に関しては1幕とはまた違った重みがあったように思う。特に「Sabbath」、「黒い傘」はそれが顕著に現れており圧倒された。普段はゆるーい感じなのにここまで男らしい音を出すのか、と驚愕した。特にケンさんの「Sabbath」のドラム。あそこで力強く懸命に叩くケンさんは本当にかっこよかった。再現公演の緊張感をものともせず、プレッシャーなんて知るかと叩いているように見えた。しびれました。

 

1幕と2幕通して見てここまで感想を書き連ねたが、公演から数日経った今、最終的に残ったのは彼らの素敵な音と、「ここまでこのバントを続けてくれて、この世界に生きていてくれてありがとう」という感謝だった。バンド存続の危機、事務所解散、脱退、メンバーの病気…私たち海月の預かり知らぬところで、幾度となく壁が立ちはだかったと思う。

それでもこのPlastic Treeというバンドを続けるという選択肢を選んでくれたのは、やっぱりメンバー4人ともこのバンドが大好きなんだからだと思う。じゃないと20年以上も曲を作り続けて大きな活休もなしに活動するなんて出来やしない。バンドは生モノとよく言うけど、このプラスティックで出来た大きな樹を腐らせることなく成長し続けてくれたことが本当に嬉しいし誇らしい。この枯れない樹はまだまだ大きくなる。そう確信した1日だった。そして願わくば、私たち海月もその側で漂っていけたらいいなと思う。

そんな願いを込めて、このリーダーの言葉でこの所感を締めくくる。

 

 

Plastic Tree大好き!!!」

 

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

7/29【Plastic】Sings/Plastic Tree@パシフィコ横浜

タイトルの件について私なりの所感を。

いつも感想などはTwitterに書いて満足してしまうんだけど、今回の20周年記念ライブはそれじゃいけない気がした。すぐに消えてしまいそうだったし、なんとか文章に残しとかなきゃな、って。

帰りの新幹線の中でもまだ戻ってこれなくて、「あれは夢だったのかなー」と思っているけど、思ったことを書きます。

 

 

第1幕「Puppet Show」について

 

投票したアルバムだったので個人的にはやってくれて嬉しかったし、当時海月ではなかったので初期のプラに触れられる貴重な機会だったと思う。

冒頭の有村さんが射影機を回す演出からPuppet Showの世界に引き込まれ、4人のシルエットが映し出されてからのMay Day。

ケンケンのドラムでスタートした瞬間に「ついに始まった!」と歓喜で鳥肌が立ち、

その後はメンバーの気迫というか、いつもより力強い演奏に圧倒されてばかりだった。強い。

この日のために全力でやってきた、という確かな自信と、走りきってやるという明確な意思を感じた。そしてその通りに彼らはやり切ったと思う。ここまで圧のくるプラは今までになかった。

 

1.幻燈機械

ここからは印象に残った曲について少し。

幻燈機械の再現は、メンバーの後ろに4つ火が灯るところから始まった。

そこからの演奏と声、背景の夕焼け映像とゆらゆらと燃える炎の演出は新鮮でもあり、 とても綺麗で思わず見蕩れてしまった。

ところで私の幻燈機械のイメージは冒頭の「街頭でまたヒラヒラ」の歌詞から、ほぼ夜に近い暗い夕方・青白い誘蛾灯に集まる虫や蝙蝠のイメージで、オレンジ色のイメージはあまりなかったんだけど、

今回の背景に使われていた映像がオレンジの夕焼けで、それもまたノスタルジックで雰囲気がよく、「あ、こういう夕方のイメージでも合うな」と新しい発見をした。

人とうまく喋れない僕が暗くなってくる世界に不安になって、君と誘蛾灯のような暗闇にそっと光る幻燈機械に集まる。だけど君は人とうまく喋れるから迎えが来て行ってしまって、迎えが来ない僕だけが取り残される…。

「一緒に遊んでた友達がいなくなって夜にかけて1人になっていく不安や寂しさ」がこの再現では色濃く出ていたと思う。パペショでも大好きな曲だったし、この曲聴けて幸せだった。あの一人ぼっち感は本当に心から寂しくなるけど、また聴きたい 。

 

2.monophobia

真っ赤なライトの下で機材に座ってベースを引くリーダー。

そのダラっとした脚の感じと垣間見える膝小僧が本当に人形じみており、綺麗すぎて怖かった。誰かに上から糸でつられててマリオネットみたいに弾かされてんのかなと思ったほど。

この曲自体は2分半というアルバムの中ではごく短い曲なんだけど、薄いかと思ったらとんでもなく濃厚。楽器隊も歌も全て。冒頭のゆったりさが嘘のように後半畳み掛けてくる。

間奏〜最後の「空が晴れてたから〜」のあたりでドラムとギターが少し落ち着いてベースのうねりが出てくるところが好きで、この曲はたださんばかりガン見してた記憶がある。あのベースプレイはめちゃくちゃカッコよかった。

「つぶれるから」の辺りで片目を抑えて発狂寸前のように、叫ぶように歌う太朗さんも鬼気迫る感じで圧倒され、しばらく放心してて次のクリームに上手く気持ちを持っていけなかったw

生で聴く機会はもうないだろうなと思ってたので聴けて本当に良かったと思う。またあの鬼気迫るメンバーを見たい。

 

3.蒼い鳥

まさかとは思ったがトロイメライの曲をアンコに持ってくるとは…しかもトロイメライの中で一番好きな蒼い鳥がラストで、やってくれた事に感謝しかなかった。

背景に映る大きな窓に緑の樹々の映像がとても綺麗。てかあの映像、摩耶観光ホテルの額縁の部屋だと思うんだけど、どうなんだろう?ご存知ない方はググって頂けると幸せになると思います。

ところで蒼い鳥といえば「幸せ」という言葉とも結びつくと思うんだけど、歌詞の冒頭で「見つけられない僕ら」とありますが、この2人は幸せを見つけられたんでしょうかね…。 でもこの2人の幸せって方向が違うと個人的には思う。「僕」にとっての幸せは「君」が傍にいることだと思うけど、相手は違いそう。だから「きっと君はいつも知らない」し、「手を繋いでも遠くにいる」んだと思う。

最後の「蒼い鳥が飛ぶような晴れた綺麗な日です。」は、〝君は幸せを求めて鳥のように旅立ったけど、僕にとっての幸せの蒼い鳥は君だったよ〟と「僕」が言っている様な気がしてならない。「悲しみの蔦が巻き上がる空」だから、決して悲しいだけの気持ちじゃなく前向きさも入ってるとは思うけど。

それはさておき、曲の方は他のツアーで何度か聴いたことがあったんだけど、毎回感動をくれる。特に太朗さんの声。この曲の歌声は全てを許容して、それでいて諦観しているような優しい声だと思う。その声の優しさと綺麗さに毎回涙ぐんでしまうんだけど、今回のは本当にヤバかった。陽だまりにつつまれているように柔らかい優しい声だった。歌詞的には大切な人との別れを歌ってるんだろうけど、明るい曲との組み合わせがまた泣ける。前半のラストを締めくくるに相応しい曲だったと思う。

 

第1幕 総括

 再現ライブとあって本編はMCなしという心地よい緊張感の中で進んでいったライブだった。

多分この日のためにリハやら何やら準備をしてきたであろうことを「出し切るぞ!」という気合いの入った感じが客席にも伝わってきたし、こっちもやり切らせて上げたいという気持ちにもなった。

後のMCでバンドの解散の危機だったとか色々と複雑だった当時を話してくれたりしたけど、そのバンドを取り巻く環境や精神状態のゴタゴタの中でこの曲たちを仕上げたのかと思うと本当に凄いと心から思う。

同時に今のプラがこの時代と曲たちを、無かったことのように黒歴史として扱わなかったのにも感謝した。もちろん当人達の間では色々と思うこともあっただろうけど、それぞれその思いを昇華するように、または昇華できるようにこの日まで頑張ってくれたことが本当に嬉しい。

 

この子達を生かしてくれて、曲として届けてくれてありがとうと心から思った。