7/29【Plastic】Sings/Plastic Tree@パシフィコ横浜

タイトルの件について私なりの所感を。

いつも感想などはTwitterに書いて満足してしまうんだけど、今回の20周年記念ライブはそれじゃいけない気がした。すぐに消えてしまいそうだったし、なんとか文章に残しとかなきゃな、って。

帰りの新幹線の中でもまだ戻ってこれなくて、「あれは夢だったのかなー」と思っているけど、思ったことを書きます。

 

 

第1幕「Puppet Show」について

 

投票したアルバムだったので個人的にはやってくれて嬉しかったし、当時海月ではなかったので初期のプラに触れられる貴重な機会だったと思う。

冒頭の有村さんが射影機を回す演出からPuppet Showの世界に引き込まれ、4人のシルエットが映し出されてからのMay Day。

ケンケンのドラムでスタートした瞬間に「ついに始まった!」と歓喜で鳥肌が立ち、

その後はメンバーの気迫というか、いつもより力強い演奏に圧倒されてばかりだった。強い。

この日のために全力でやってきた、という確かな自信と、走りきってやるという明確な意思を感じた。そしてその通りに彼らはやり切ったと思う。ここまで圧のくるプラは今までになかった。

 

1.幻燈機械

ここからは印象に残った曲について少し。

幻燈機械の再現は、メンバーの後ろに4つ火が灯るところから始まった。

そこからの演奏と声、背景の夕焼け映像とゆらゆらと燃える炎の演出は新鮮でもあり、 とても綺麗で思わず見蕩れてしまった。

ところで私の幻燈機械のイメージは冒頭の「街頭でまたヒラヒラ」の歌詞から、ほぼ夜に近い暗い夕方・青白い誘蛾灯に集まる虫や蝙蝠のイメージで、オレンジ色のイメージはあまりなかったんだけど、

今回の背景に使われていた映像がオレンジの夕焼けで、それもまたノスタルジックで雰囲気がよく、「あ、こういう夕方のイメージでも合うな」と新しい発見をした。

人とうまく喋れない僕が暗くなってくる世界に不安になって、君と誘蛾灯のような暗闇にそっと光る幻燈機械に集まる。だけど君は人とうまく喋れるから迎えが来て行ってしまって、迎えが来ない僕だけが取り残される…。

「一緒に遊んでた友達がいなくなって夜にかけて1人になっていく不安や寂しさ」がこの再現では色濃く出ていたと思う。パペショでも大好きな曲だったし、この曲聴けて幸せだった。あの一人ぼっち感は本当に心から寂しくなるけど、また聴きたい 。

 

2.monophobia

真っ赤なライトの下で機材に座ってベースを引くリーダー。

そのダラっとした脚の感じと垣間見える膝小僧が本当に人形じみており、綺麗すぎて怖かった。誰かに上から糸でつられててマリオネットみたいに弾かされてんのかなと思ったほど。

この曲自体は2分半というアルバムの中ではごく短い曲なんだけど、薄いかと思ったらとんでもなく濃厚。楽器隊も歌も全て。冒頭のゆったりさが嘘のように後半畳み掛けてくる。

間奏〜最後の「空が晴れてたから〜」のあたりでドラムとギターが少し落ち着いてベースのうねりが出てくるところが好きで、この曲はたださんばかりガン見してた記憶がある。あのベースプレイはめちゃくちゃカッコよかった。

「つぶれるから」の辺りで片目を抑えて発狂寸前のように、叫ぶように歌う太朗さんも鬼気迫る感じで圧倒され、しばらく放心してて次のクリームに上手く気持ちを持っていけなかったw

生で聴く機会はもうないだろうなと思ってたので聴けて本当に良かったと思う。またあの鬼気迫るメンバーを見たい。

 

3.蒼い鳥

まさかとは思ったがトロイメライの曲をアンコに持ってくるとは…しかもトロイメライの中で一番好きな蒼い鳥がラストで、やってくれた事に感謝しかなかった。

背景に映る大きな窓に緑の樹々の映像がとても綺麗。てかあの映像、摩耶観光ホテルの額縁の部屋だと思うんだけど、どうなんだろう?ご存知ない方はググって頂けると幸せになると思います。

ところで蒼い鳥といえば「幸せ」という言葉とも結びつくと思うんだけど、歌詞の冒頭で「見つけられない僕ら」とありますが、この2人は幸せを見つけられたんでしょうかね…。 でもこの2人の幸せって方向が違うと個人的には思う。「僕」にとっての幸せは「君」が傍にいることだと思うけど、相手は違いそう。だから「きっと君はいつも知らない」し、「手を繋いでも遠くにいる」んだと思う。

最後の「蒼い鳥が飛ぶような晴れた綺麗な日です。」は、〝君は幸せを求めて鳥のように旅立ったけど、僕にとっての幸せの蒼い鳥は君だったよ〟と「僕」が言っている様な気がしてならない。「悲しみの蔦が巻き上がる空」だから、決して悲しいだけの気持ちじゃなく前向きさも入ってるとは思うけど。

それはさておき、曲の方は他のツアーで何度か聴いたことがあったんだけど、毎回感動をくれる。特に太朗さんの声。この曲の歌声は全てを許容して、それでいて諦観しているような優しい声だと思う。その声の優しさと綺麗さに毎回涙ぐんでしまうんだけど、今回のは本当にヤバかった。陽だまりにつつまれているように柔らかい優しい声だった。歌詞的には大切な人との別れを歌ってるんだろうけど、明るい曲との組み合わせがまた泣ける。前半のラストを締めくくるに相応しい曲だったと思う。

 

第1幕 総括

 再現ライブとあって本編はMCなしという心地よい緊張感の中で進んでいったライブだった。

多分この日のためにリハやら何やら準備をしてきたであろうことを「出し切るぞ!」という気合いの入った感じが客席にも伝わってきたし、こっちもやり切らせて上げたいという気持ちにもなった。

後のMCでバンドの解散の危機だったとか色々と複雑だった当時を話してくれたりしたけど、そのバンドを取り巻く環境や精神状態のゴタゴタの中でこの曲たちを仕上げたのかと思うと本当に凄いと心から思う。

同時に今のプラがこの時代と曲たちを、無かったことのように黒歴史として扱わなかったのにも感謝した。もちろん当人達の間では色々と思うこともあっただろうけど、それぞれその思いを昇華するように、または昇華できるようにこの日まで頑張ってくれたことが本当に嬉しい。

 

この子達を生かしてくれて、曲として届けてくれてありがとうと心から思った。