7/29 【Tree】Songs/Plastic Tree@パシフィコ横浜

 

書いてたら長くなってしまったので…第2幕です。 

感想のつづきいっくよー

 

第2幕 「ネガとポジ」について

 

こちらも私が投票したアルバム。

このアルバムは私の中で「都会」や「夜」が脳内イメージとしてある。会社帰りの車の中のBGMとして流していると、とても落ち着く曲たちなので好き。

それもあって聴けるの楽しみにしてたんだけど、昼の第1幕だけでもあれだけ迫力で殴られてお腹いっぱいだったので、第2幕に入り込めるか自分が心配だった。

だけどそれも杞憂で、実際は勢いや圧がとどまることを知らず、音の波と厚みが一気に押し寄せてきた。第1幕で見せてくれた彼らの本気度は少しも衰えていなかった。聴きながら「これは凄いライブになりそう」と思ったのを覚えている。実際その通りになった。早く自宅でも追懐したいし、DVDが待ち遠しい。発売はよ。

 

 

1.無人

「ネガとポジ」を演るなら絶対聴きたいと思っていた曲。ナカヤマさんのこの歌詞は色々と想像力を掻き立てられて好きだ。苦悩する主人公と、そんなガラス細工のように脆い主人公を傷ついても見つめる誰か。この関係性が好き。 〝傷ついて痛がって 感情過多でもあなたときっと歩める〟だから、2人は再出発したと信じてるんだけど、どうでしょうね。誰からも見送られない無人駅からの再出発。きっと最後、大切なものに主人公は気づけたと思う。

さて、そんな聴きたいと切に願った無人駅だったけど、ライブで聴くこの曲は期待通り素晴らしいものだった。イントロのナカヤマさんの静かなギターから始まり、そこからうねるベースと安定したドラムが続く。 特にサビのナカヤマさんの高いコーラスは客席までしっかり届き、太朗さんの声と合わさって2人の声が芯のある強い歌声になっていた。サビの最後の伸ばすところがとても心地いい。元々好きな曲のひとつだけど、更に好きになれた。

 

2.アンドロメタモルフォーゼ

重厚で攻撃的な黒い傘の音を聴き、放心していたところからのアンドロメタモルフォーゼ 。

心に刺さるような重い音を奏でていたと思ったら、突如こういう優しい音を出してくれたりするからこのバンドはズルい。アルバムの曲順通りに演ってる訳だから次は何の曲やるか分かってるんだけど、この落差は卑怯だと思った。背景は暗い宇宙に沈んでいく玩具の人形達と星空。優しい音と浮遊感に屈するしかなかった。音の洪水を前にして立ち尽くしてしまい、じっと彼らだけ見つめていた気がする。本当に目が離せなかった。

この曲も他のツアーで何度か聴いた事はあるけど、毎度惹き込まれてしまう曲の一つで、夜に自宅に帰る車の中で繰り返し聴いた曲だから個人的には特に思い入れも強い。最後の〝月からね 吹く風で涙もいつかかわいて そしたらね どこまでもずっと 歩いてけそう〟の歌詞には何度救われたか知らない。

そんな曲をこの20周年の記念ライブで、しかも本編ラストに聴けるのはとても幸せなことだと思った。一音一音噛み締めるように聴けたことに感謝しかない。本当に素敵でした。

 

3.記憶行き

アルバム「ウツセミ」からのアンコールで最後に演奏してくれた曲。

冒頭の「さよなら」を聴いた瞬間、「あぁ、このライブも過去になろうとしているのか」と思って泣きそうになった記憶がある。「もう少しだけ付き合って」と太朗さんが前置きして始まった記憶行き。音や演奏するメンバー、目に映るもの全てが美しすぎて息を呑んだ。最後の4人で向き合って演奏する姿は20周年の締めくくりに相応しい姿だったと思う。客席から見ても本当に楽しそうに彼らは演奏していた。何度かあったバンドの危機を乗り越えて、それでもプラを続けてくれた4人の想い。その願いごとひとつだけでここまでこれたような気がしてならない。たださんも言ってたけどそれはとても誇らしいことで、何度か感謝の言葉も口にしてらしたけど、こちらも連れてきてくれて、再現してくれてありがとうという感謝の気持ちを伝えたいと思った。私は4人が心底楽しそうに、笑顔で演奏したこの「記憶行き」を一生忘れない。

 

 

第2幕総括

第1幕で無邪気に、純粋な心で日々の不安や疑問を歌っていた少年が、第2幕で大人の青年になって帰ってきたという印象だった。

プラのアルバムを並べていると初期はおとぎ話を読んで独自の世界を持っている閉鎖的な少年で、近年になるにつれて現実世界に少しずつ触れ、大人になっていったという感じがする。だけど根本の精神的なところはあまり変わってなくて、生きていく上での漠然とした不安や諦めは少し残っているという感覚。1幕から2幕の流れはそんな成長を見れたような感じで面白かった。

特に音に関しては1幕とはまた違った重みがあったように思う。特に「Sabbath」、「黒い傘」はそれが顕著に現れており圧倒された。普段はゆるーい感じなのにここまで男らしい音を出すのか、と驚愕した。特にケンさんの「Sabbath」のドラム。あそこで力強く懸命に叩くケンさんは本当にかっこよかった。再現公演の緊張感をものともせず、プレッシャーなんて知るかと叩いているように見えた。しびれました。

 

1幕と2幕通して見てここまで感想を書き連ねたが、公演から数日経った今、最終的に残ったのは彼らの素敵な音と、「ここまでこのバントを続けてくれて、この世界に生きていてくれてありがとう」という感謝だった。バンド存続の危機、事務所解散、脱退、メンバーの病気…私たち海月の預かり知らぬところで、幾度となく壁が立ちはだかったと思う。

それでもこのPlastic Treeというバンドを続けるという選択肢を選んでくれたのは、やっぱりメンバー4人ともこのバンドが大好きなんだからだと思う。じゃないと20年以上も曲を作り続けて大きな活休もなしに活動するなんて出来やしない。バンドは生モノとよく言うけど、このプラスティックで出来た大きな樹を腐らせることなく成長し続けてくれたことが本当に嬉しいし誇らしい。この枯れない樹はまだまだ大きくなる。そう確信した1日だった。そして願わくば、私たち海月もその側で漂っていけたらいいなと思う。

そんな願いを込めて、このリーダーの言葉でこの所感を締めくくる。

 

 

Plastic Tree大好き!!!」

 

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。